【呪術廻戦】結界術ってのは難しいよな ~簡易領域編~
呪術廻戦において頻出する“帳”や「領域展開」。
両方共が「結界術」というカテゴリに属しています。
簡単な結界術(帳)や式神で術師をバックアップ
――単行本2巻 伊地知のプロフィールより
五条悟:
簡単な式神とか結界術は別として
基本的に術式は生まれながら体に刻まれてるものだ――呪術廻戦 12話より
このあたりのセリフ、また“帳”や「簡易領域」の使い手が複数いることから「結界術は簡単で誰でも使える」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかしこんなセリフもあります。
五条悟:
結界術は難しいからねー強くてもできない奴は結構いるよー
僕は両方できるけどね――呪術廻戦 86話より
さっき「簡単な(式神とか)結界術」と言っていた五条悟が「結界術は難しい」と言っていますね。
どっちだよ!!
…となりますが、「実際のところ結界術の使い手は少ないこと」「1級術師でも結界術を使えない者が大多数」という点から、「結界術は難しい」が正解だと思います。
12話の五条のセリフは「(難しい結界術の中でも)簡単なものは別として」という読み方をするべきなのでしょう。
今回はこの「呪術廻戦においては、結界術は難しくて使い手が少ない」という設定を少しでも広めるべく、シン・陰流「簡易領域」をピックアップして説明・考察していきたいと思います。
※記事中の「簡易領域」は全て『シン・陰流「簡易領域」』の略記として使用しています。
シン・陰流「簡易領域」は難しいのか?
それは平安時代 蘆屋貞綱によって考案された 呪術全盛の時代
凶悪巧者な呪詛師や呪霊から門弟を守るために編み出された技
一門相伝 その技術を故意に門外へ伝えることは縛りで禁じられている
それは“領域”から身を守るための 弱者の“領域”――呪術廻戦 82話より
「領域展開」の対抗策として頻出するシン・陰流「簡易領域」。
一門相伝ですが、シン・陰流の門弟でなくても「見て盗む」ことは可能なことから、誰でもできそうな印象を受けますが、実際はそうではありません。
与幸吉(メカ丸)の場合
与幸吉:
コレにはあの呪術が封じられている
俺ではこのやり方でしか術を成立させられなかった――呪術廻戦 82話より
与幸吉(メカ丸)は天与呪縛により相当の呪力と呪力操作技術を得ています。しかしそんな彼でも、「簡易領域」を「自らの肉体にゼロから結界術の術式を構築して制限なしに使用する」ことはできず、簡易領域の術式を封じたカートリッジ4本を使用して真人と戦いました。
「究極メカ丸絶対形態」とかいうオーバーテクノロジー巨大ロボを用意できる技術と呪力があるのに、です。
また京都校との交流戦時では、花御の乱入にあった加茂がこのようなセリフを言っています。
加茂憲紀:
早めに東堂…最低でも三輪と合流したい所だが…
――呪術廻戦 46話より
加茂は45話で伏黒から「花御は領域を使う可能性がある」という情報を得ています。そして東堂と三輪の共通点は「簡易領域」を使える、という点です。
なのでここで加茂は「領域対策持ち」との合流を狙っていた、ということが分かります。同時に、「交流戦に参加していた京都校の学生のうち、領域対策(簡易領域)を使えるのは東堂と三輪のみ」ということも分かります。少なくとも交流戦の時点でメカ丸は簡易領域を使えません。
(加茂本人は御三家なので「落花の情」等は使える可能性はあります)
冥冥の場合
冥冥は、自分では「簡易領域」を使わず、弟である憂憂の「簡易領域」で疱瘡婆の領域展開を打破しています。
冥冥:
領域展開!?これは少々厄介―
――呪術廻戦 101話より
冥冥:
憂憂の役割は領域対策
他人に借りを作るのは性に合わなくてね その辺はあの子に任せてある――呪術廻戦 102話より
「他人に借りを作るのは性に合わなくてね」とまで言う冥冥が、自力で領域対策を習得しようとしない理由はないでしょう。しかし実際のところ冥冥は自力で領域対策を持っておらず、憂憂にその役割を任せています。
つまり冥冥は結界術が不得意で「簡易領域」が使えない、ということになります。
冥冥は鍛錬を積んだ一級術師ですが、領域展開には至っていません。ここで簡易領域も使えないということは、結界術の才能がなかったということでしょう。
七海健人の場合
冥冥と同じく一級術師である七海は、作中で「自閉円頓裹」「蕩薀平線」と2回も領域展開を食らっています。しかしどちらの場合も七海は「簡易領域」等の領域対策を出しません。
七海健人:
呪力で構築した生得領域内で必殺の術式を必中必殺へと昇華する
私の到達できなかった呪術の極致――呪術廻戦 30話より
七海は自分が「領域展開」が出来ない、と序盤で明かしています。七海が領域展開に至れなかったのは、やはり結界術の才能がなかったことが原因だと言えるでしょう。
また、七海は一度呪術師を辞めてサラリーマンに転職しています。伊地知のように補助監督に転向する道は考えなかったのでしょうか?
この疑問について考えてみます。
七海が「結界術が使えない」となると、“帳”を降ろせないということになります。作中の描写から補助監督は“帳”を降ろすのも仕事のため、七海は補助監督になれなかったのでしょう。だから補助監督にはならずに、呪術師をやるか呪術をやるかの二択になったのではないでしょうか。
渋谷事変のグループ分けの秘密
83話から開始された渋谷事変。初期配置のグループ分けには法則的なものがあります。
・1級術師昇級査定のため、査定対象の術師と1級相当の術師が同グループにいる
任務の難易度からしてもこれは当然ですね。
そしてもう一つ。
・各グループに領域対策持ちが1人以上配置されている
です。
渋谷事変の首謀者と予測された特級呪霊、呪詛師(羂索や真人たち)が「領域展開を使う」という情報は高専側にも既に共有されています。なので会敵した際に最悪でも全滅を避けられるよう、各班に1人必ず領域対策持ちを振り分けていると考えられます。
具体的にはこんな感じですね。(★のついたキャラが領域対策持ち)
- 七海班: 七海、猪野、★伏黒(領域展開)
- 禪院班: ★直毘人(落花の情)、真希、野薔薇
- 日下部班: ★日下部(簡易領域)、パンダ
- 冥冥班: 冥冥、★憂憂(簡易領域)、虎杖*1
さて、ここで問題になるのは、術師が11人いて、結界術を用いた領域が使用できるのはたった2人(日下部と憂憂)だけという点です。
この11人、憂憂を除いた全員が1級術師と1級術師への昇級査定中(保留中含)という、呪術師の中でも相当の実力者たちです。なのに結界術(簡易領域)を使用できるのはたった2人。前述の冥冥と七海はもちろん、御三家当主である直毘人さえ領域展開を使用できません。
伏黒は後に明らかになる通り、領域展開による必中の無効化はできますが、結界術は満足に使えていません。
つまり結界術の才能のある呪術師は、5人に1人くらいの割合ということになります。
呪術師の上澄みでもこれですから、思ったより全然少ないですね。
簡易領域と落花の情
皆さんは「簡易領域」と「落花の情」、どちらのほうが領域対策として優れていると思いますか?
私は「落花の情」が出てきた時、どう考えても「簡易領域」のほうが優れていると思っていました。
「落花の情」
御三家に伝わる対領域の術
簡易領域のように自らは領域を展開せず必中の術式が触れた瞬間
カウンターで呪力を解放し身を守る――呪術廻戦 108話より
「彌虚葛籠」や「簡易領域」は術式そのものを中和することはできない
これらは術式の付与された結界を中和することで
付与された術式の必中効果を無効化している――呪術廻戦 171話より
落花の情は「結界に付与された必中の術式は必中のまま」ですが、簡易領域は「必中効果そのものを無効にできる」からです。
どう考えても呪術界を牛耳る御三家の秘伝とまで言われる技にしては弱く感じるでしょう。
しかし、「結界術の使い手が少ない」「結界術は難易度が高い」ということを考えると、「落花の情」は「結界術の才能がなくても使える」という明確な利点があるといえます。
たとえば171話でレジィは「簡易領域」と性質の似た「彌虚葛籠」を使用したため伏黒の攻撃を受けてしまいましたが、最初の蝦蟇による攻撃くらいなら、「落花の情」であればカウンターで叩き落とせたでしょう。
御三家秘伝というからには御三家内でしか相伝してはいけないという“縛り”でもありそうですが、「簡易領域」よりはずっと会得の難易度が低いのではないでしょうか。
天元に次ぐ結界術の使い手・羂索
シン陰でテンションの上がる羂索
他にも「簡易領域」の難易度が高いのではないか? と思わせるシーンがあります。
それは羂索(偽夏油)が「簡易領域」を見るたびに笑顔でテンション上がって褒めるところです。
羂索:
「簡易領域」!!
“領域”はあらゆる術式を中和する 領域内ではあの五条悟にですら攻撃は当たる
簡易とはいえ内側から領域を発生させられたら真人でも術式関係なくダメージを負う――呪術廻戦 82話より
羂索:
……シン陰か…よかったよ 少しは薀蓄がある奴が来てくれて
――呪術廻戦 134話より
天元に次ぐ結界術の使い手である羂索は、現在の表に出ている術師の中では最も結界術に精通しているでしょう。
そんな彼が笑顔になるシン・陰流「簡易領域」は、マッドサイエンティストのケのある羂索に認められるほどの高度な術式であると考えられます。
羂索が厳選した日車の才能
死滅回游で現代人ながら凄まじいキルスコアを叩き出し、レジィ達過去の術師にも警戒されている日車。彼はまさに「羂索が厳選した子」に相応しく、結界術の才能を開花させた術師です。
領域がデフォルトで備わった自らの術式を解明することで
結界術の基礎をも同時に習得 結界術から逆算する形で呪力操作による強化術の勘を掴み
術式開花から12日間で1級術師と比べても遜色のないレベルまで成長
結界侵入前に数多くの呪霊を退け 20人以上の泳者を返り討ちにするに至る――呪術廻戦 165話より
基本的に呪力が一定量あれば努力次第でできなくもない(向き不向きがすごい)。
自分の中に術式を0から構築、言霊を乗せて、呪力を流して発動。
“帳”のことを指すことが多いけど『領域展開』も結界術の要素がいっぱいだよ。――呪術廻戦10巻「ちょっと何言ってるか分かんない術式まとめ」より
上記から、基本的に結界術は生まれつき肉体に刻まれている生得術式と異なり、ゼロから構築する必要があることが分かります。
しかし日車の術式は「領域がデフォルトで備わっている」…つまりデフォルトで結界術が生得術式の一部として刻まれているのです。
(領域展開に結界術が必須だという話は以下の記事を参照下さい)
なので他の術師と異なり、本来難易度の高い結界術の理屈を先にマスターし、その後呪力操作という基礎に遡って急激に成長していったということだと考えられます。
日車は結界術を除いた呪術の才能も圧倒的でしたが、呪術の才能がいくらあっても結界術が使えない・苦手な人もいる、というのは伏黒が一番分かりやすく描写されています。
伏黒恵:
結界術ってのは難しいよな
いつまでたっても現実空間にスケールの異なる疑似空間を重ねる感覚がつかめない――呪術廻戦 170話より
むしろ生得術式を持っていない日下部や三輪がシン・陰流門派にスカウトされているので、結界術の才能とその他呪術の才能は全く別物といえるでしょう。
まとめ
よく「簡易領域は全呪術師必修にしろ」とか「一級なのに簡易領域も使えない七海」とか言われるのを目にしますが、以上のような描写から、呪術廻戦では、簡易領域どころか結界術そのものが、呪術師なら誰でもできるというわけではない難しい技術だということが分かると思います。
今回は「呪術廻戦においては、結界術は難しくて使い手が少ない」という設定だという考察を、「簡易領域」をピックアップして記事にしていきました。
次回は“帳”のほうをピックアップして、同じく「呪術廻戦においては、結界術は難しくて使い手が少ない」ということを主張していきたいと思います。
*1:真人限定で領域無効