昭和生まれオタクの生活

昭和生まれのオタクが日々の暮らしについて書いていくブログです。

【遊戯王ZEXAL】「鏡のデュアル・イズム」に籠められた情報量について語る

鏡のデュアル・イズム」は「遊戯王ZEXALⅡ」の2つめ、「遊戯王ZEXAL」から通すと5つめのOPです。

遊☆戯☆王ZEXAL ヴォーカルベスト

遊☆戯☆王ZEXAL ヴォーカルベスト

  • アーティスト:ヴァリアス
  • 発売日: 2015/02/18
  • メディア: CD
 

 女性声優2人ユニットによる歌、デュエルやドローという言葉が織り交ぜられた歌詞もインパクトがありますが何よりも印象的なのは映像の圧倒的スピードではないでしょうか。常時倍速再生しているようなスピード感で1分半の間にどれだけ詰め込むんだ!という映像の情報量は先日出た遊戯王OPED集で連続再生していても「鏡のデュアル・イズム」だけ異常といっても過言ではありません。

 そんな「鏡のデュアル・イズム」の情報量についてですが、実際に放送期間中のアニメ本編内容と比較して遊戯王OPEDとしては非常に内容に忠実であり、99話~123話の内容をほぼ網羅しています。歴代OPの中でここまで「このカットは何話のどのシーンだ!」とハッキリ言えるアニメーションになっているものは珍しいでしょう。
このOP放映中の期間の物語が相当練られていたことが伺えます。
放送当時はトロン一家再登場の予告を見た時には「そんな場合じゃないだろう!」みたいにキレていた私ですが、OPを見れば再登場どころか敵対していた四悪人までしっかり出ていたのですから既定路線だったと納得せざるを得ません。

 

というわけで、今回この「鏡のデュアル・イズム」の映像と本編の関連について、リアルタイム放送時の思い出も交えて解説して行きたいと思います。

 

 

イントロ

アニメOPの約1:30しかない尺で20秒以上もイントロで持っていく采配。ですがイントロ~Aメロはほぼ正しい意味でのイメージ映像になっているので、実際この「OPに詰め込まれた凄い情報量」の部分は1分10秒程度になります。すごいですね。

イントロ部分は遊馬&アストラル、カイト、シャークの3人のキャラ紹介的になっています。
それぞれのイメージカラー、パターン背景に上下左右にカットインされる演出のオシャレ感は好きな人も多いのではないでしょうか。私も好きです。

ちなみにこのカットインシーンはよく「シャークだけ遊馬と逆に配置されるので彼の離反をほのめかしている」と言われますが、数あるカットの中で遊馬とシャークが上下逆に配置されるのは2回ですし、Aメロの三勇士以外のレギュラー~準レギュラーの絵が流れるところでは他にも上下逆になっているキャラクターがいるので個人的にはあまりアテにしていません。
「シャークだけ」というならパターン背景がシャークだけ繰り返し柄になっていないことのほうが気になります。

 

Aメロラスト

遊馬とアストラルが向き合うシーンから、「鏡のデュアル・イズム」の情報詰め込みが開始されます。「真剣なバトルの中でみつける もうひとつの自分」という歌詞にのせて遊馬とアストラルが向き合うシーンが入る意味は、ZEXALを最後まで視聴した方ならすぐに分かるでしょう。
また次の璃緒と凌牙もこの「鏡のデュアル・イズム」の放映期間中に「もうひとつの自分」をみつけることになったキャラクターです。バリアン世界を背景に涙しながら落ちるように画面外へ消えていく璃緒(メラグ)と追いかける凌牙(ナッシュ)の映像ですが、実際に109話のナッシュの記憶ではメラグは海に身を投げて死んでいます。また回想自体は「鏡のデュアル・イズム」の放送期間外ですが、バリアン七皇となったあとのメラグがベクターによって崖から突き落とされ、ナッシュがその後を追ったシーンに重なります。(メラグ毎回落下死してんな…)
OPED集では最終Verが収録されていますが、この部分、99話~109話までは私服の璃緒と凌牙でした。110話からメラグとナッシュ(ともに人間だった頃)に差し替わっています。

anime.dmkt-sp.jp

anime.dmkt-sp.jp

 

Bメロ

ハートランドシティを包み込むドン・サウザンド&ベクターの黒い影と降り注ぐカードがイメージ映像じゃないと思う人いる??と当時散々言われたシーンです。
122話でドン・サウザンドがベクターを利用することで作り上げた100万枚もの偽ナンバーズが世界中にばら撒かれたエピソードですね。わかるか?!?!
そしてその世界に現れる勇者、遊馬&アストラル、そしてゼアル。
99話の時点で最新のゼアルはセカンドフォームだったのでOPではセカンドですが、ストーリー的には123話「勇者の凱旋!友の意志を引き継げ!!」のでサードフォームになった箇所にあたります。というか123話でゼアルに変身したシーンでそのまんま「鏡のデュアル・イズム」のこの変身シーンのアニメーションが使われています。

anime.dmkt-sp.jp
鏡のデュアル・イズム」の放送期間が99話~123話なのでラスト2話の展開ががっつり決まってたんだなということがBメロだけで分かりますね。

 

サビ①

99話から開始される遺跡のナンバーズをめぐる旅→No.96との戦い→トロン兄弟の参戦としっかりストーリー順になっていることに今気づきました。バリアンの順番は順不同ですが、この時点でミザエルがわりと別枠扱いなのが分かりますね。
次OPの「Wonder Wings」でもベクターさえ参加しているサビのバリアンラッシュにミザエルは参加せずVSカイトがピックアップされているので、ミザエルはバリアンの中でもかなり特殊な立ち位置です。
どちらかというとカイトとの因縁、ヌメロンドラゴン入手のほうのストーリーに関わることに加えて遺跡のナンバーズと同じくらい2体の銀河眼は特殊なカードなので妥当でしょう。映像でも交差するカイトとミザエルの後ろでネオギャラクシーアイズとネオタキオンが融合(?)して光になっていたりしますが、これも放送範囲外ですがヌメロンドラゴン入手の経緯をイメージしているのでしょう。

 

アリト→ギラグ→ドルベ→ナッシュ(笑)と続くバリアンとナンバーズの映像ですが、ドルベの部分がかなり特殊になっています。ドルベが見つめる先には遺跡のナンバーズである《No.44 白天馬スカイ・ペガサス》…と見せて、次のシャークに切り替わる直前に一瞬だけ人間だった頃のドルベがハッキリと映り込みます。ドルベが見つめていたのは自分の前世の姿であり、更にその先にいるのはナッシュという表現に思えます。ドルベの瞳のアップは「鏡のデュアル・イズム」ではアウトロにも挿入されており、99話~123話の間でドルベがどういう立ち回りをしたのか、というのが大変分かりやすく表現さえれていると思います。

 

《CNo.96 ブラック・ストーム》は102話まではシルエットで103話以降はシルエットがとれています。「鏡のデュアル・イズム」放送中はNo.96が明確に敵対しており、決着がつきながらもアストラルを死なせるということまでしたので、出番自体はそれほど多くないNo.96が結構目立つアニメーションになっていますね。

anime.dmkt-sp.jp

anime.dmkt-sp.jp

 

サビ②

サビ後半部分ですごいスピードで入ってくるトロン三兄弟とそのエースナンバーズたち…ですがこれまでの遊戯王ZEXALを見ている人ならば誰でも分かるようなシルエットが112話まで入っており、113話でようやくとれました。(登場したのは112話からです)

anime.dmkt-sp.jp

anime.dmkt-sp.jp


遊戯王ZEXAL」で敵対していた勢力が「遊戯王ZEXAL Ⅱ」で頼れる味方として登場する胸アツな展開を予感させるようなヒーローじみたポーズを決めています。お前らそういうキャラだったか?(特にⅣとⅤ)

遊馬、カイト、シャークがそれぞれのエースモンスターを召喚し、破壊されつつある街を守るようなシーンはVS No.96やVS Mrハートランドを彷彿とさせますが「鏡のデュアル・イズム」放映中にこの3人が共闘(同時デュエル)した回はないのでイメージ映像ですね!!(ひどい)

 

アウトロ

アウトロは「瞳」のアップの演出が音ハメで入っていて印象的になっており、同時に「これからのストーリー」を予見させるカットが多く入っています。

 

遊馬とアストラルの二人のシーンは、「鏡のデュアル・イズム」放送中の後半のメインストーリーである遊馬とアストラルの別離を予感させます。アストラルの目のアップの後にカットインされるのはMr.ハートランドを筆頭とした四悪人。四悪人はアストラルを失った遊馬の元に刺客として送り込まれてきます。
四悪人とトロン兄弟、四悪人のむちゃくちゃなキャラクターデザインや放送当時は夏休み期間だったこともあいまってわりと本筋に関係のないトロン兄弟再登場ファンサービス(トロン兄弟は放送当時からたいへん人気のあるキャラクターでした)かなと思っていたのですが、よくよく考えてみると「鏡のデュアル・イズム」放送中のストーリーの要であるキーワード「記憶」に沿った要素をしっかり持っていたエピソード群でした。
蝉丸は他者の記憶を消す能力を持っており、後に遊馬がエリファスからも示される「アストラルの記憶・つらい記憶を消す」という提案、そしてヌメロンコードを使用する際の一番の議論点であった「過去をなかったことにしてしまうのか」というテーマを先取りしています。
クラゲ先輩登場回はシャークが「神代凌牙」としての記憶を振り返るエピソードになっていますし、クラゲ先輩本人も「神代凌牙」の記憶に関わる爆弾発言をしていきます。
蚊忍者登場回では遊馬とアストラルの思い出という名の記憶にまつわるエピソードが登場し、蚊忍者を打破したきっかけはデュエリストとしての生存本能などとぶっとんだワードチョイスにはなっていますが、実質はカイトとⅤの絆の回想…記憶です。(ちょっとここは強引かもしれない…)
四悪人(のMr.ハートランド蠅Ver以外)も、サビのトロン兄弟と同じく112話まではシルエットで113話から解禁されています。シルエットと解除後でデザインがかなり違う気がするぞ!!

 

続いてのバリアン七皇(5人)が縦スクロールしていくシーンも最後にドルベの瞳のアップになります。そこに映り込むのは遺跡のナンバーズの精霊・アビスに操られた璃緒と対峙するシャークの姿。まさしく108話、109話のエピソードであり、109話で「ドルベがナッシュの記憶を見た」ということを表現しているカットでしょう。
ドルベの瞳のアップの直後にシャークが映る流れは「鏡のデュアル・イズム」ではサビでも使われており、2回も繰り返されますが、実際「鏡のデュアル・イズム」放送中の99話から123話でドルベがやっていることはだいたい主役である遊馬・カイト・シャークと同じだったりします。
つまりは「己の記憶を取り戻し、死んだと思われている友の生存を信じ、最後には異世界にいるその友を取り戻す」ということです。98話でZEXAL Ⅱの序盤エピソードが一段落し、99話から新たに「遺跡のナンバーズ編」とでも言うべきストーリーが始まるのですが、その99話はドルベがメインの物語です。その後もドルベが何をしていたかは作中で語られ、遊馬達や独自に調査を進めていたカイトと同じかそれ以上にナンバーズの遺跡を訪れ調査し、己が人間だった頃の記憶を取り戻し、そして信頼する友であるナッシュの居場所を突き止めます。ドルベはナッシュのいる異世界に行き、ナッシュを見事バリアン世界へと連れて帰ります。
このことから「鏡のデュアル・イズム」放送中はドルベがもうひとりの主人公だったのでは、と私は思いました。放送中はシャーク(ナッシュ)が主人公みたいになってるとか言われまくっていた記憶がありますが、実際のところナッシュは遊馬にとってのアストラルで、遊馬はドルベなのです。
ちなみに璃緒と《No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ》、《No.94 極氷姫クリスタル・ゼロ》は109話まではシルエットで、110話から解禁されました。2体のナンバーズのキャラデザが違うしシルエットの璃緒は服が私服だったぞ!!!

 

ヌメロンコードを挟んだドン・サウザンドとアストラルのシーンは二人がかつてヌメロンコードをかけて戦ったことを彷彿させます。そしてこれまたドン・サウザンドの瞳のアップが来ますが、直後に映るのはナッシュがメラグの亡骸を抱え慟哭するカット。
明かされるのは「鏡のデュアル・イズム」放送範囲外ですが、メラグが海に身を投げたことはドン・サウザンドの干渉のせいだということが示唆されています。ドン・サウザンドに呪われたバリアンとしての二人、という流れになっているのでしょう。
ここも110話からシルエット解禁…というか、109話までは私服の凌牙が私服の璃緒を抱えていましたが110話から人間だった頃のナッシュとメラグに変更されています。シャークと璃緒にまた何かあるのかよと思ってたらもう過去の話だった時の気持ち。

 

最後は遊馬&アストラル、カイト、シャークの三人がそれぞれのエースモンスターの進化系とともに映り、イントロから流れを引き継いでいる中で一枚絵が2枚挟まれてOPアニメーションは終了します。

 

ドラゴン(ジンロン)と対峙するカイトのカットは106話のラストですね。実際にはカイト一人ではなく遊馬とアストラル、シャークもその場にいるのでなかなかシュールな光景になっていますが…。
またこの回でアストラルとドン・サウザンドがかつて戦った事実もはじめて明らかになります。ジンロンこと《No.46 神影龍ドラッグルーオン》はヌメロンドラゴンをめぐるミザエルとカイトの戦いでも登場するため、106話は設定上重要な回だと思います。

anime.dmkt-sp.jp

夕日の中の遊馬とアストラルのカットは111話冒頭の予知めいた白昼夢のシーンです。VS No.96戦の謎空間に転移&帰還した川沿いの道には116話ではアストラルのお墓が作られます。が、OPのこのカットとは場所がちょっと違うような気がしますが、111話の冒頭をイメージしたカットで間違いないでしょう。

anime.dmkt-sp.jp

 

まとめ

このOPで一番のイメージ映像…それはシャークドレイクバイスなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!
上記文章中「ここはイメージ映像です」と言った場所…全部シャークドレイク(バイス)がいるんだぜ…。(99話~123話の間、シャークドレイクバイスはおろかシャークドレイクは一度も召喚されていません)

www.db.yugioh-card.com